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広島地方裁判所 昭和52年(わ)793号 判決 1978年5月30日

事務所の所在地

広島県福山市沖野上町二四五番地の一

法人の名称

有限会社伸栄工業

代表者の氏名

代表取締役 貞方由利子

本籍

広島県福山市沖野上町二四五番地の一

住居

右同所

会社役員

貞方由利子

昭和二一年八月六日生

本籍

不詳

住居

広島県福山市沖野上町二四五番地の一

会社経営

山内俊夫

昭和七年一〇月三〇日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官落合俊和出席のうえ審理をして、次のとおり判決する。

主文

被告会社有限会社伸栄工業を罰金六〇〇万円に、被告人貞方由利子および同山内俊夫をいずれも懲役八月に処する。

被告人貞方由利子および同山内俊夫に対し、この裁判確定の日からいずれも二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社伸栄工業は、広島県福山市沖野上町二四五番地の一に事務所を有し鳶工事業を営むもの、被告人貞方由利子は、被告会社の代表取締役で同会社の経理事務等を担当するもの、被告人山内俊夫は、被告人貞方由利子の内縁の夫で、被告会社の請負工事の受注、同工事代金の請求・受領、従業員の管理等を統轄して実質上同会社を経営するものであるが、被告人両名は共謀のうえ、被告会社の業務に関し、同会社の法人税を免れる目的をもつて、架空の外注費を計上し、別口預金を設定する等の不正な方法で所得を秘匿したうえ

第一  昭和四八年一〇月一日から同四九年九月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が三〇、二七一、二二五円であつたにもかかわらず、同四九年一一月三〇日福山市三吉町二丁目二五〇番地の三所在の福山税務署において、同税務署長に対し、所得金額及び納付すべき法人税額は皆無である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の右事業年度の正規の法人税額一一、三七五、八〇〇円を免れ

第二  昭和四九年一〇月一日から同五〇年九月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が二二、〇二二、八八〇円であつたにもかかわらず、同五〇年一二月一日右税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、二五六、九一六円でこれに対する法人税額が三四二、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の右事業年度の正規の法人税額七、九五九、八〇〇円と申告税額との差額七、六一七、一〇〇円を免れ

第三  昭和五〇年一〇月一日から同五一年九月三〇日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が二四、九六一、一三九円であつたにもかかわらず、同五一年一一月三〇日右税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、一二一、〇一一円でこれに対する法人税額が五九一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、被告会社の右事業年度の正規の法人税額九、一四二、一〇〇円と申告税額との差額八、五五〇、五〇〇円を免れ

たものである。

(右各事業年度の所得および税額の計算は、別紙各事業年度における修正損益計算書および脱税額計算書のとおりである。)

(証拠の標目)

判示全事実につき

一、 被告人両名の当公判廷における各供述

一、 被告人貞方由利子の検察官(四通)および大蔵事務官(四通)に対する各供述調書

一、 被告人山内俊夫の検察官に対する供述調書五通

一、 金平敏男の検察官に対する供述調書

一、 大蔵事務官各作成の昭和五二年一〇月一九日付、同月六日付、同月二九日付および同年九月三〇日付各調査事績報告書

一、 華山義夫、亀岡隆夫および堀口恒男各作成の各証明書

一、 登記官作成の登記簿謄本

一、 押収してある法人税決議書綴一綴(昭和五三年押第三三号の1)、領収書綴一綴(自47.10至48.9同号の2)、総勘定元帳一冊(第二期、同号の8)および金銭出納帳一冊(同号の12)

判示第一の事実につき

一、 樋高和夫(昭和五二年一一月二六日付)、一ノ宮勝信および柏谷政人の検察官に対する各供述調書

一、 末松文成作成の証明書

一、 神戸市生田区長(記録上前綴の方)、大阪市大正区長、中見市長、石見市長、北九州市八幡西区長、兵庫県尼崎市長、小野田市長、大阪市北区長、横須賀市長(昭和五二年一〇月一一日付)、和歌山市長、倉敷市長(同月二九日付)および兵庫県川西市長各作成の各回答書

一、 押収してある領収書綴二綴(自48.10至49.9並びに自49.10至50.9前同押号の3.4)および総勘定元帳一冊(三期、同号の9)

判示第二の事実につき

一、 浜田虎己、山口繁雄および浜崎嘉美の検察官に対する各供述調書

一、 末松文明作成の証明書

一、 倉敷市長(昭和五二年一〇月七日付で記録の前綴りのもの)、荒尾市長、神戸市生田区長(記録上後綴りの方)、福岡市博多区長、横須賀市長(同月六日付)、徳島市長、福岡県京都郡苅田町長および和歌山市市民税課各作成の各回答書

一、 押収してある領収書綴二綴(自49.10至50.9並びに自50.10至51.9前同押号の4.5)、金銭借用契約証書一通(同号の6)、総勘定元帳一冊(四期、同号の10)および日誌ノート一冊(同号の13)

判示第三の事実につき

一、 浜崎嘉美および柏谷政人の検察官に対する各供述調書

一、 新井良一作成の上申書

一、 千葉県市原市長、平塚市長、川崎市川崎区長(二通)、倉敷市長(昭和五二年一〇月七日付で記録上後綴りの方)、大分市長、兵庫県三原郡西淡町長および大阪市南区長各作成の各回答書

一、 押収してある領収書綴二綴(自50.10至51.9並びに自51.10至52.9前同押号の5.7)、金銭借用契約証書一通(同号の6)および総勘定元帳一冊(五期、同号の11)

(法令の適用)

第一被告会社につき

判示所為の該当法条

第一ないし第三の各所為につき

いずれも法人税法一六四条一項(刑法六〇条、法人税法一五九条、七四条一項)

併合加重

刑法四五条前段、四八条二項

第二被告人貞方由利子につき

判示所為の該当法条

第一ないし第三の各所為につき

いずれも刑法六〇条、法人税法一五九条(七四条一項)

(いずれも懲役刑のみを選択)

併合加重

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

刑法二五条一項

第三被告人山内俊夫につき

判示所為の該当法条

第一ないし第三の各所為につき

いずれも刑法六〇条、法人税法一五九条(七四条一項)

(いずれも懲役刑のみを選択)

併合加重

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重)

刑の執行猶予

刑法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 正木勝彦)

別紙1の1

修正損益計算書

自 昭和48年10月1日

至 昭和49年9月30日

<省略>

別紙1の2

修正損益計算書

自 昭和49年10月1日

至 昭和50年9月30日

<省略>

<省略>

<省略>

別紙1の3

修正損益計算書

自 昭和50年10月1日

至 昭和51年9月30日

<省略>

別紙2の1

<省略>

別紙2の2

<省略>

別紙2の3

<省略>

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